手摺・架台・壁下地など小さな強度計算でお困りの方へ│有限会社アクト

その手摺はもつか?


手摺の強度計算5

■現場で止める普通ボルトは計算上ピンと見ます。
 下図は、足元を普通ボルト2本で止める手摺です。
 このボルトにはどんな力がかかるでしょうか?
100921_001.gif図1
 支柱ピッチ900ですから、支柱1本にかかる力は
 135kg となります。


 分かり易くする為に、図1を横にします。(図2)
100921_002.gif図2
■図3と図4は、
 2本のボルトそれぞれにかかる力を示しています。


■図3は、外側のボルトにかかる力です。
 図中の支持点で力が釣合うとすれば、
 ①135kg の支持点に及ぼすモーメントは、
 ②162kgm となります。


■支持点で釣合う為には、
 反対方向に同じモーメント③162kgmが必要です。
 ③から逆算すると、④1080kg が得られます。
100921_003.gif図3


■図4は、内側のボルトにかかる力です。
 図中の支持点で釣合うとすれば、
 ①135kg の支持点に及ぼすモーメントは、
 ②182.25kgm となります。


■支持点で釣合う為には、
 反対方向に同じモーメント③182.25kgmが必要です。
 ③から逆算すると、④1215kg が得られます。
100921_004.gif図4

以上から、大きい方の1215kg の力に
ボルトが耐えれば安全が確認出来ます。


この力はボルトにせん断力として作用します。
1215kg > ボルトの許容せん断応力
となれば、計算は終了です。


手摺の強度計算3

3回目は、アンカーの検討です。足元の図は以下です。

もう一度全体の状況を確認すれば、下図の略図です。
03-01.jpg
03-02.jpg
この図から、ボルト位置の引き抜き応力は以下となります。
03-03.jpg

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あと施工アンカー試験結果より

◆サイズM12+アンカー埋め込み深さ:45mm
◆上記の引き抜き耐力 95%信頼下限値=13140N

となります。

支柱は1箇所に付きアンカー2本で固定されていますから

支柱1箇所では、

13140N×2本=26280N

の引き抜き耐力が期待出来ます。
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さて、答えです。

22344N/26280N=0.837<1.0

よって、OKです。
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さらに、安全にするには、下式の様に
ボルト位置の引き抜き応力式を変更します。
03-04.jpg

分母の4cmを5cmにすると応力が小さくなり、安全側となります。
これは、ベースプレートの高さ寸法と応力が関係していることを表しています。
このポイントを覚えておくと、今後の判断に役立ちます。


ガラス手摺を計算する

今回は、よく見るガラス手摺です。
大きな施設の吹き抜け部分を取り巻いています。

概略図は下図です。※画像をクリックすると大きくなります。

下図が支柱の断面です。

使用しているのは、強化ガラスではありません。
支柱と足元の3方に35mmmの溝を作ってガラスを差込み、
シーリングで止めます。
ガラス溝は、厚さ5mmのステンレスフラットバーで作ります。
足元は、同じ5mmのステンレスフラットバーをコの字に組んでいます。

外力は、手摺頂部に水平力がかかると想定します。
今回は、外力を1500 N/m と想定します。その根拠は、
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◆日本建築学会・JASS13によれば、

 ◆グレード3:集合住宅、事務所ビルなどの標準的建築物の
   バルコニー・廊下手摺
    ↓
  980N/m

 
 ◆グレード5:公共性が高くかつ大地震時でも機能を損なわない
   廊下・バルコニー手摺
    ↓
  2950 N/m

 ◆グレード4:グレード3と5の中間の廊下・バルコニー手摺
    ↓
  1450 N/m

 と、まぁ、分かったような分からないような分類があります。
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今回は、諸々考慮してグレード4と判断し、1500 N/m としました。

この手摺は、ガラスの耐力を期待しません。(嵌っているだけですから)
手摺の計算をする場合、ガラスの重さは小さいので考慮していません。
足元のガラス受け材は、ガラス重量を受けるだけの機能なので、
水平力の耐力には関係しません。

以上から今回は、支柱が1500 N/m の水平力に耐えるかを計算します。
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◆支柱は、足元固定で@1200とします。

◆支柱高さは、1050mm ⇒ 30mm+1020mm(概略図参照)

◆支柱断面の断面性能は、断面図より

  I=45.84cm4  Z=9.29cm3

※今回のような複雑な形状の断面性能は、
 個別に計算するより他に手に入れる方法はありません。

 根気良く、間違えないように、手計算しても良いですが、面倒だし、
 間違える危険もありますので算出ソフトを使いました。

 上記の数字は、弊社のIZ Write で計算したものです。
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◆手摺先端にかかる水平荷重   1500 N/m とする
  P=1500 N/m × 1.2m = 1800 N

◆片持ち距離(手摺高さ) L=105cm

◆ヤング係数   E= 19300000 N/cm2

◆許容応力度   F=20600 N/cm2

◆集中荷重    曲げモーメンM = 1800 N×105cm=189000 Ncm
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◆曲げ応力に対する断面検討
 100327-03.jpg100327-04.jpg
 
 100327-05.jpg< 1.0

                          ∴OK
 
◆たわみの検討
 100327-06.jpg

 100327-07.jpg100327-08.jpg

たわみ量は、8mmほどなのでOKとします。

以上からこの断面形状で支柱はもつと考えられます。


手摺の強度計算-2

先の計算で手摺がもちませんでした。

そこで、1176N の水平力に耐えられる部材を逆算します。

条件は以下です。

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◆支柱先端にかかる水平荷重(P)=1176N

◆片持ち距離 (L)       =76.0cm

◆鉄材のヤング係数(E)    =20500000 N/cm2

◆鉄材の曲げ許容応力度(F)  =23500 N/cm2

◆曲げモーメント(M)     =1176N × 76cm = 89376 Ncm

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上記の条件に耐える必要断面性能を計算します。

◆曲げ応力に対する検討

 σをFとして逆算する。
 
  Z=M/σ=89376 Ncm / 23500 N/cm2

=3.809cm3
 
 この計算結果以上のZ値を持つ材料ならば曲げ応力に耐えられる。

よって、 Z>3.809cm3 以上の材ならばOK。


◆たわみに対する検討

 たわみ量 1/100以下となる断面2次モーメント値を計算する。

 σ=76cm / 100 = 0.76cm(たわみ量)

 I=PL2 / 3Eσ= 11.05cm4

 この計算結果以上のI値を持つ材料ならば曲げ応力に耐えられる。

よって、 I > 11.05cm4 以上の材ならばOK。

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ここまでの計算結果から、

◆Z =3.809cm3

◆I = 11.05cm4

以上の断面性能を必要とする部材となる。

例えば、

○- 48.6φ×3.2t ⇒ I=11.812cm4  Z=4.863cm3

○- 60.5φ×2.3t ⇒ I=17.833cm4  Z=4.205cm3

などの材料となる。

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上記の計算をアクトWebアプリで計算してみます。

【必要断面性能】を開きます。

下図が入力画面です。

※画像をクリックすると大きくなります。

左側の各項目をチェックします。

◆梁の種類  ◎片持ち梁

◆荷重の種類 ◎集中荷重

◆長期・短期 ◎短期

◆材質     スチール

右側の各数値を入力します。

◆荷重(P)       :1176 N

◆長さ(L)       :76.0cm

◆たわみ(σ/L)     :1/100

入力したら【計算】ボタンをクリックします。

下の窓に結果が表示されます。

※画像をクリックすると大きくなります。

計算結果を手計算の場合と比べてみて下さい。

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次回は、アンカーの検討を行います。


手摺の強度計算-1

下図は手摺の図面です。
※画像をクリックすると大きくなります。

A図が断面図・B図が姿図・C図が計算の為の略図です。
(図の寸法は mm です。)

屋上パラペットに後施工の打ち込みアンカーで固定する手摺です。

図面からの与えられた条件は以下となります。

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◆手摺の高さ(アンカーから手摺先端までの高さ)=76cm

◆支柱の間隔                 =120cm

◆支柱の材料                 =St ○-34.0φx2.3t

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この計算では、手摺の強度とアンカーの強度の2つの検討が必要です。

今回は、手摺の強度を検証します。

一般に手摺にかかる外力は、人が押す力を想定します。
そこで、人が押す力はどれくらいでしょうか。

日本建築学会・JASS13によれば、
集合住宅、事務所ビルなどの標準的建築物の
バルコニー・廊下の部位に対する水平荷重を

980N/m としています。

今回は、この荷重を採用します。

1mあたりに、980N の力がかかるわけです。

さらに、支柱の間隔が120cmですから、支柱1本にかかる力は

980N/m × 1.2m = 1176N となります。

以上からこの手摺には、

1176 N の力が、上端部に水平にかかります。

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ここまでの状況を略図にすると、C図となります。

図中の 40mm は、アンカー芯からベースプレート下端までの寸法です。

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ここで、計算に必要な数値を下に示します。

◆支柱 St ○-34.0φx2.3t の
 
 断面2次モーメント(I)   =2.892cm4

 断面係数(Z)        =1.701cm3

◆支柱先端にかかる水平荷重(P)=1176N

◆片持ち距離 (L)       =76.0cm

◆鉄材のヤング係数(E)    =20500000 N/cm2

◆鉄材の曲げ許容応力度     =23500 N/cm2

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◆曲げモーメント(M)の計算

 M=1176N × 76cm = 89376 Ncm

◆断面の検討

 σ=M/Z = 89376 Ncm / 1.701cm3 = 52543.2 N/cm2

52543.2 N/cm2 > 23500 N/cm2

許容応力度を上回る応力が発生するので、この手摺は不可です。


◆たわみの検討

 σ=PL3/3EI = 2.90cm = 2.90/760
   (3乗)

 2.90/760 = 1/26 > 1/100

 たわみに関する基準はありませんが、通常1/100程度をめあすとしています。

 その基準から言えば、たわみでも不可となります。

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ここまでの計算をアクトWebアプリで行ってみます。

【応力算定】の画面を開きます。

下図が入力画面です。

※画像をクリックすると大きくなります。

左側の各項目をチェックします。

◆梁の種類  ◎片持ち梁

◆荷重の種類 ◎集中荷重

◆長期・短期 ◎短期

◆材質     スチール

右側の各数値を入力します。

◆荷重(P)       :1176 N

◆断面2次モーメント(I):2.892cm4

◆断面係数(Z)     :1.701cm3

◆長さ(L)       :76.0cm

入力したら【計算】ボタンをクリックします。

下の窓に結果が表示されます。

※画像をクリックすると大きくなります。

計算結果を手計算の場合と比べてみて下さい。

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さて、計算は、NGとなりました。

それではどうすれば良いか? 以下は次回に。

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